今回の経営学の教養のテーマは「リソース・ベースト・ビュー(RBV)」です。
前回のSCP理論では製品・サービス市場での戦略を考えたのに対し、「リソース・ベースト・ビュー(RBV)」では企業内部の経営資源に着目します。
このテーマについて教えてくれるのは、入山章栄(いりやま あきえ)さん著書の「世界標準の経営理論」の第3章「リソース・ベースト・ビュー(RBV)」の部分です。
では、内容の要約を行って「リソース・ベースト・ビュー(RBV)」について理解していきましょう。
目次
【要約】「世界標準の経営理論」 第3章「リソース・ベースト・ビュー(RBV)」
リソース・ベースト・ビュー(RBV)は企業リソースに着目した理論であり、以下の命題でまとめられます。
命題1-企業リソースに価値があり(valuable)、稀少な(rare)時、その企業は競争優位を実現する。 命題2-さらにそのリソースが、模倣困難(inimitable)で、代替が難しい(non-substitutable)時、その企業は持続的な競争優位を実現する。この時リソースの模倣困難性は、蓄積経緯の独自性、因果曖昧性、社会的複雑性で特徴づけられる。 -「世界標準の経営理論」 P74より抜粋
・蓄積経緯の独自性:企業が時間をかけて蓄積したリソースほど模倣されにくい
・因果曖昧性:因果関係が複雑なリソースの組み合わせほど、何が一番大事なのかといったことがはっきりせず模倣されにくい
・社会的複雑性:リソースが複雑な人間関係・社会的関係に依拠するほど模倣されにくい RBVは実務で使えないといわれています。
その大きな理由はメッセージ性が弱いことが大きな理由です。
つまり、「リソースの価値を高めるにはどうすればよいか」・「リソースを模倣困難にするにはどうすればよいか」という企業にとっての「How」の部分に十分応えられていないからなのです。
【RBV関連のフレームワーク:アクティビティ・システム】 RBV上記の問題はありながらも、筆者は「アクティビティ・システム」というRBV関連フレームワークについては「How」に答えられる可能性があると考えています。
アクティビティ・システムとは、企業のビジネス行動(アクティビティ)のつながりを図示するフレームワークでし。 このフレームワークを利用し、「より一貫性を持たせて、模倣困難にするにはどうすればよいか」を考察することが有用です。
有機的なつながりをもった模倣な経営資源を構築することが重要
企業リソースに着目することは大事なことだと思います。
ヒト・モノ・カネ・情報のようにリソースには複数の種類があり、それを上手く組み合わせて企業活動を行う必要があります。
大事なのは、有限のリソースをいかに有機的につなげて模倣困難で価値のあるリソースを構築できるかということであり、それは経営者や管理職の手腕が問われる問題なのだと思います。