今回の教養のテーマは哲学から「ソクラテス・プラトン・アリストテレス」についてです。
このテーマについて教えてくれるのは、立命館アジア太平洋大学学長 出口治明さん著書の「哲学と宗教全史」の第4章「ソクラテス・プラトン・アリストテレス」の部分です。
早速中身を要約していきましょう。
目次
【要約】「哲学と宗教全史」 第4章「ソクラテス・プラトン・アリストテレス」
ソクラテスに始まる哲学の大きな特徴は、人間の内部に焦点を当てたことであるといえます。
人間の内部に向かい、生きることについての問いかけを始めたのです。
【ソクラテス(BC469頃ーBC399)】
・「産婆術」と「不知の自覚」:「産婆術」とはソクラテスの弁証法のこと。
産婆さんが赤ちゃんを胎児から丁寧に取り出し、誕生させるプロセスのようだと評されたことが由来とされる。
ソクラテスは「産婆術」で「不知の自覚」を人々に教えようとした。
それは、若者に世の中の真実について考えたり、自分の人生について見つめ直す機会を与えるべきだと考えたからである。
しかし、ソクラテスは論破され逆恨みを抱いた人々に告訴され、公開処刑されてしまった。
【プラトン(BC427-BC347)】 :ソクラテスの弟子
・「イデア論」:「ものごとには本質がある。それがイデアである。我々が現世で見ているのは本質の模造品である」。
神の世界にイデアがあることが前提。
・「哲人政治」:賢い君主や、複数の賢い人たちによって形成される「夜の会議」によってこそ、善い政治が実行される 。
【アリストテレス(BC384-BC322)】:プラトンの弟子
・「中庸」:人間の行為や感情における超過と不足という両極端の中間に徳が存在する。
この延長線上に望むべき政治の姿もある。
・「4性質説」と「4原因説」:
火・空気・水・土の4元素がいかなる状態(熱・冷・乾・湿)になっているかが重要である。
また、世界は質料因(木材)・形相因(意匠)・作用因(大工仕事)・目的因(食事)の4つの原因から説明される。
「なぜ人は生きるのか」を考える
本書では、生きることについての問いかけを始めたのは時代背景が大きいと述べています。
つまり、戦乱が打ち続く中において「なぜ人は生きるのか」を考えるのです。
現在ではアメリカと中国での覇権争いが本格化しており、争いがさらに大きくなることも考えられます。
そのような争いが大きくなるにつれて「人間か生きることの意味」が改めて注目されるに違いないでしょう。
自然界を破壊し、我が物顔で地球の有限の資源を使いながら欲望のままに生きることが人間の生きる意味なのか。
この章を読み進めることで、今まで味わったことのない深い問いを突き付けられた気がしてなりません。