今回の教養のテーマは「宗教の誕生」についてです。
このテーマについて教えてくれるのは、立命館アジア太平洋大学学長 出口治明さん著書の「哲学と宗教全史」の第1章「宗教が誕生するまで」の部分です。
早速中身を要約していきましょう。
目次
【要約】「哲学と宗教全史」 第1章「宗教が誕生するまで」
人間は言葉を身につけた
人間は言葉を身につけた。
それは、脳の進化とともに思考するツールを求めたからである。
言葉を得たことで人間は世界や自らの存在について問いを持つようになりました。
人間は時間について考え始めた
世界や自らの存在について問いを持つようになった人間は次に時間について考えるようになりました。
その結果として生まれたのが暦(こよみ)です。
<暦(こよみ)の種類>
・太陽暦:エジプトでナイル川の氾濫を予知する目的で作られた。
太陽の動きを観察し、夏至を頂点として冬至に向かって日照時間が短くなる、
また冬至から夏至に向かって日照時間が長くなるというサイクルを古代のエジプト人は発見し、その知識を元に太陽暦が作られました。
・太陰暦:メソポタミアで使われていた暦。
月の満ち欠けを利用。
このような円環する時間の概念を見つけるなかで、人間の一生は直線であることにも気づくようになり人生が終わった後はどうなるのかと考えるようになっていたのです。
宗教の概念を生み出すきっかけ
また、人間が狩猟採集生活から農耕牧畜生活へと転換し定住生活をし始めるようになりました。
なぜ定住するようになったのかの定説はないですが、移動が自由にできなくなったため定住せざるを得なくなったという考え方があります。
定住生活を行うようになると、「誰が太陽をのぼらせるのか」・「誰が生死を定めているのか」といった問いを考えるようになり、自然界のルールは何者かが作っていると考え始めるようになりました。
それが宗教の概念を生み出すきっかけとなったのです。
宗教は人間が定住生活を始めたことで誕生した
言葉は人間特有のものであり、言葉がないと物事を考えることができない。
言葉を操るということはそれだけ自然界において独自性のあることであり、大事なものとしてとらえたいと思います。
ものを考えることは当たり前に思ってしまうが、歴史を紐解くと非常に独特なことであると感じました。
また、定住生活を行うようになったことが宗教を生み出すこととなったという点も感慨深いです。
定住生活では自分の周りの世界を支配する必要があります。
牧畜・農耕はそれぞれ動物・植物の支配といえます。
その支配を行うにあたり、身の回りの自然がどのように動いているかを理解したくなった。
あまりにもうまくできている自然界をみて、人間は何か特別な存在がこの自然界を作っていると考えた。
それが宗教の概念を生み出す結果となったということで、非常に興味深い思考の流れだと思います。