この記事では、デジタル通貨が社会に与える影響を考えていきたいと思います。
デジタル通貨と聞いてどんな疑問を持つでしょうか?
・デジタル通貨とはなに?
・デジタル通貨が発行されることによるメリットはなに?
・デジタル通貨が発行されることによるデメリットはなに?
・デジタル通貨が日本に与える影響ってなに?
・デジタル通貨に関連する銘柄に投資したいけどどこがある?
それぞれについて一緒に考えていきたいと思います。
目次
この記事の信頼性
この記事は以下の情報ソースを利用しています。
・【ガチ革命】「デジタル円(CBDC)」がヤバすぎるので解説。 イケハヤ大学 YouTube
・各種新聞・報道記事(日経新聞・ロイターなど)
デジタル通貨とはなにか
デジタル通貨とは、デジタル変換された通貨として価値があるものをいいます。
ですので、電子マネーや仮想通貨(暗号資産)もデジタル通貨です。
特に、各国の中央銀行が発行するデジタル通貨のことをCBDC(Central Bank Digital Currency )と呼びます。
CBDCについては、中国とスウェーデンが先行しており、日本は遅れています。
【中国の動き】
中国では「デジタル人民元」の発行に向け実証実験を開始しており、2022年の北京冬季五輪までに正式発行する予定です。
中国は「デジタル人民元」の発行に向け、広東省深圳市で市民5万人が参加する実証実験を始めた。
2022年の北京冬季五輪までに正式発行する。
デジタル化で資金の流れを「監視」する狙いだが、先行する中国の取り組みに日米欧は警戒を強める。
【スウェーデンの動き】
スウェーデンではデジタル通貨「eクローナ」の実証実験を2020年2月から開始しています。
スウェーデンは世界で最もキャッシュレス化が進んでおり、現金流通高の対GDP比は2018年でわずか1%(参考:ユーロ圏11%・米国8%)となっています。
スウェーデン国立銀行(リクスバンク、中央銀行)は19日、中央銀行テジタル通貨(CBDC)「eクローナ」の実証実験を開始したことを明らかにした。
実証実験は、コンサルティング会社アクセンチュアと連携して行う。中銀は、eクローナを実際に発行するのかどうか、最終的な決定はまだ下していないとしている。実験は2021年2月まで実施するという。
デジタル通貨がなぜ話題になっているのか
そもそもなぜデジタル通貨の発行が話題となっているのでしょうか?
それは、Facebookが構想を発表したデジタル通貨「リブラ」(libra)の存在が大きいです。
2019年にFacebookが「リブラ」の発行を提案したことで、リブラがドルやユーロのような新たな「基軸通貨」になる可能性を恐れた各国の中央銀行が独自のデジタル通貨発行の検討を加速させたのです。
では、なぜリブラが新たな「基軸通貨」になる可能性があるのでしょうか。
それは、Facebookのユーザー数とリブラの性質に関係しています。
Facebookのユーザー数は25億人以上と言われています。リブラはこれらの非常に多くのユーザーが利用できる通貨となる可能性があります。
また、リブラはビットコインと異なり複数の法定通貨(ドル・ユーロ・円など)を裏付け資産とする設計を検討しており、価値が安定する通貨(=ステーブルコイン)となる可能性があります。そのため、金融システムへの影響が大きいと考えられているのです。
デジタル通貨が発行されることによるメリット
デジタル通貨はプログラマブルマネー(=プログラム可能なマネー)です。そのため、お金の動きがプログラム可能となります。
お金の動きがプログラム可能となると、例えば以下のようなことが可能となります。
・金融政策や社会政策を柔軟に行える(例:1/1~1/3までの消費税を0にする、1億円以上の口座の保有者のみにマイナス金利を適用する)
・詐欺被害の救済が容易になる(振り込め詐欺で振り込んでしまった資金の回収が容易になる)
・融資審査が効率化される
・納税・確定申告が効率化され、ほぼ自動化となる
デジタル通貨が発行されることによるデメリット
便利になるように思えるデジタル通貨ですが、デメリットもあります。
最も大きいデメリットとしては、国家に自分のお金の流れが筒抜けになってしまうことです。
これにより国家権力が強くなることが想定され、国民は国家に強く監視される社会となるでしょう。
デジタル通貨が日本に与える影響
日本でも日本銀行がデジタル通貨発行に関する議論を開始しました。
日本銀行がデジタル通貨発行について考慮すべきポイントとして以下を述べています。
1)物価の安定や金融システムの安定との関係
CBDCを導入する場合には、金融政策の有効性や金融システムの安定性の観点から、CBDCの機能要件や経済的な設計(発行額・保有額の制限や付利の有無等)については慎重な考慮が必要である。
(2)イノベーションの促進
イノベーションを促進する観点から、中央銀行と民間事業者の協調・役割分担のあり方、すなわち、「日本銀行はCBDCの枠組みや技術的な規格をどこまで定め、どこからを民間事業者の創意工夫に任せるのか」といった点をしっかりと検討していく必要がある。
(3)プライバシーの確保と利用者情報の取扱い
情報の取扱いに関する様々な要請を考慮しながら、中央銀行と民間事業者の役割分担、すなわち「誰が、どの範囲のデータを、どのような条件のもとで取得、管理するか」について検討する必要がある。
(4)クロスボーダー決済との関係
各国中央銀行の動きなどをしっかりフォローしながら、国内利用だけでなく、クロスボーダー決済への活用可能性を確保していくことが望ましい。
上記及び、これまで見てきたデジタル通貨発行によるメリット・デメリットを勘案すると以下の変化は起こるのではないかと考えます。
①銀行業の大幅縮小
②富裕層の資産が暗号資産へさらに流れるようになる
③デジタルテクノロジー関連銘柄の株価が上昇する
④プログラマーがさらに高給取りになる
①銀行業の大幅縮小
デジタル通貨が広く流通されることになると、融資審査が効率化されます。
お金の流れを把握することができるため、「この人にどのくらいお金を貸しても大丈夫か」という検討を非常に短い時間で、しかも人の手をほぼ介さずに行うことができるようになります。
そのようになると、貸し手と借り手の仲介役である銀行の意義は薄らぐこととなり、銀行の融資機能という役割は小さくなる未来が想定されます。
②富裕層の資産が暗号資産へさらに流れるようになる
デジタル通貨の流通により、お金の流れが国家に筒抜けになることから、富裕層はそのことを嫌いデジタル通貨ではない形で資産を保有するインセンティブが高くなります。
では、どこに資産を移すかというと、国家が流れを追うことができないところ。現代ではビットコインなどの暗号資産がその候補になります。
③デジタルテクノロジー関連銘柄の株価が上昇する
デジタル通貨の発行は日本銀行だけでは不可能で、デジタル技術を持つ民間事業者の力が必要です。そのため、デジタルテクノロジー企業のニーズは高まることが予想され、その企業の株価は期待感も含めて大きく上昇することが予想されます。
④プログラマーがさらに高給取りになる
現代でもプログラミングスキルを持つ人材への需要は高いですが、デジタル通貨発行の議論が進むとさらにプログラマーの需要が高くなることが想定されます。そのため、プログラマーの給料は大きく上昇することが予想されます。
デジタル通貨の関連銘柄はどこか?
デジタル通貨の関連銘柄としては、①電子決済インフラを提供している会社、②ITコンサルティング会社、③サイバーセキュリティ会社 が該当すると考えます。
①電子決済インフラを提供している会社
政府と日本銀行がが検討する段階では、現在幅広く流通している電子マネーが議論のベースになると考えられます。そのため、電子決済インフラを提供している会社はデジタル通貨の関連銘柄となります。具体的には以下が該当します。
・JR東日本
・KDDI
・NTTグループ
・PayPay
・インターネットイニシアチブ(IIJ)
・セブン銀行
②ITコンサルティング会社
スウェーデンのeクローナではコンサルティング大手アクセンチュアが実証実験に参画していました。このことから、デジタル通貨発行において、ITコンサルティング会社もデジタル通貨の関連銘柄となりえます。
具体的には以下が該当します。
・アクセンチュア
・アビームコンサルティング
・日本IBM
・NTTデータ
・フューチャーアーキテクト株式会社
・ガートナージャパン
③サイバーセキュリティー会社
デジタル通貨発行には強固なセキュリティー対策が必要です。そのため、サイバーセキュリティー会社もデジタル通貨の関連銘柄となりえます。
具体的には以下が該当します。
・デジタルアーツ
・ソリトンシステムズ
・トレンドマイクロ
・テクマトリックス
・ラック
・テリロジー
まとめ
デジタル通貨の発行により多くのメリットが出てくるため、この流れが止まることはないでしょう。
デジタル通貨には国家による監視が強くなるというデメリットはありますが、このデメリットを認識した上で、どのように自分が行動するのかを考えることが大切です。